2018.08.22 21:59「滝浴み 夏月(かげつ)の炎暑を避ける」① 「滝浴(あ)み」。滝に打たれることだけでなく、眺めて楽しんだり、その滝の水で遊んだりして涼を求めることをいう。エアコンで室温を下げる方法などなかった江戸時代、人々は様々な方法で蒸し暑い日本の夏を乗り切った。多くは近くの川や池などの水辺での夕涼み(隅田川や不忍池など)...
2018.08.21 23:07「四条河原夕涼」 「月はおぼろに東山」の歌い出しで知られる『祇園小唄』(作詞:長田幹彦、作曲:佐々紅華 1930年【昭和5年】)。歌詞に京都の地名や風物詩が散りばめられ、舞妓さんを連想させる語句も随所に用いられている。4番まであり、それぞれ春夏秋冬を歌っているが、2番(夏)の歌詞はこう...
2018.08.21 07:34「万能人レオナルド」③軍事技師 レオナルドは1482年頃から1499年まで、17年間ミラノに滞在し、ルドヴィコ・イル・モーロのミラノ宮廷に仕えた。レオナルドはミラノ宮廷に赴くにあたって、ルドヴィコに次のような自薦状を送って自分を売り込んだ。「高名なる閣下。私は兵器の名工や考案者として自任しているす...
2018.08.19 21:20「日本人と虫の音」 日中の日差しの強さははまだまだだが、盆も過ぎ日が落ちた頃に聞こえてくる虫の音に秋の気配が感じられる今日この頃。日本人であることを実感する季節だ。西欧人には見られない、虫の音を楽しむ文化。文部省唱歌『虫のこえ』は「あきの夜長を鳴き通す ああおもしろい虫の声」と歌う。ラ...
2018.08.18 23:46「万能人レオナルド」②彫刻家 レオナルドが仕えたミラノ公国の支配者ルドヴィコ・イル・モーロの父はフランチェスコ・ スフォルツァ。スフォルツァ家によるミラノ公国を樹立した。ヴィスコンティ家の傭兵隊長として出世し、ヴィスコンティ家の娘と結婚。そしてミラノ公位を継承した。イル・モーロは、スフォルツァ朝...
2018.08.18 00:42「万能人レオナルド」①都市計画者 宗教画の中でも特に印象的なのが「聖セバスティアヌスの殉教」。柱に縛り付けられ、体中に矢を射られる姿で描かれることが多い。ルネサンス期にも多く描かれたが、それは人々を恐怖に陥れたペスト(黒死病)の守護聖人だったからだ。なぜそうなったのか。 彼はキリスト教が迫害されてい...
2018.08.17 00:39「フィリッポ・リッピが描いた女性美」 中世キリスト教世界では、ローマ教皇と神聖ローマ皇帝以下の国王・領主ら世俗君主が聖職者(司教や修道院長など)の任命権(叙任権)をめぐって争った(「叙任権闘争」)。その中で、「教皇は太陽、皇帝は月」と豪語した教皇がいる。インノケンティウス3世【在位:1198-1216】...
2018.08.16 00:56「レオナルドの『最後の晩餐』制作過程」④ 次は、12使徒を3人一組の4グループに分けて描いたこと。その上で、全体として印象が拡散するのを防ぐために、手の動きなどによって4つのグループがイエスに向かって集束するように描いた。 しかし何と言っても、この絵の魅力は12使徒一人一人の手の動き。イエスの右隣のヨハネ、...
2018.08.14 23:48「レオナルドの『最後の晩餐』制作過程」③ レオナルドは画面に多様性を生み出しつつ統一感を持たせるために様々な工夫をした。 まずイエスと12人の弟子の対比。驚き、狼狽し、身振り手振りで激しい動きをする弟子たち(ヨハネだけは静かだが)に対して、落ち着き、あきらめ、哀しささえ感じられるようなイエス。ユダが裏切った...
2018.08.13 23:51「レオナルドの『最後の晩餐』制作過程」② レオナルドが、「裏切りの告知」のクライマックス、すなわちイエスが「あなたがたのうちの一人がわたしを裏切ろうとしている」と言い放った瞬間を取り上げた背景には彼の深い聖書理解、教会のドグマから自由な聖人理解、深い人間洞察があると思う。確かにユダは銀貨三十枚と引き換えにイ...
2018.08.12 23:30「レオナルドの『最後の晩餐』制作過程」① サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の食堂壁画「最後の晩餐」を依頼されたレオナルドがどのように構想を練り、制作していったか、その過程を正確に把握することはできない。残されている習作、メモ、関係者の証言をもとに推測するしかない。当時は、今の芸術家には考えられない多...
2018.08.12 00:00「クラシック・スタイルと『最後の晩餐』」 わずか30年ほどの短い期間ではあるが、15世紀末から16世紀初頭にかけての時期は、その前後の時期と区別して「盛期ルネサンス」と呼ばれる。レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロの三大巨匠をはじめ、傑出した芸術家が前代未聞の密度で登場した。彼らは、ルネサン...