2021.07.12 02:14「フィレンツェ・ルネサンスとコジモ・ディ・メディチ」8 コジモ・ディ・メディチ(1)逮捕 1429年にジョヴァンニが死去した時、長男コジモはすでに40歳の有能で経験豊かな銀行家・実業家であり、6歳下の弟ロレンツォとともに、フィレンツェの指導的な寡頭政治家のひとりになっていた。コジモが父から受け継いだのは、莫大な財産(18万フィオリーノ)と強力な派閥人脈だけではなかっ...
2021.07.11 01:19「フィレンツェ・ルネサンスとコジモ・ディ・メディチ」7 ジョヴァンニ・ディ・ビッチ(3) ルネサンス美術が産声をあげたとされるのは、1401年のフィレンツェ政府主催美術コンクール。このコンクールの審査員は市民の有識者で構成されたが、ジョヴァンニ・ディ・ビッチもそのなかに加わっていた。このコンクールは、フィレンツェが誇りとする建築のひとつ、サン・ジョヴァンニ洗礼堂の新...
2021.07.10 02:15「フィレンツェ・ルネサンスとコジモ・ディ・メディチ」6 ジョヴァンニ・ディ・ビッチ(2) ヴィエーリは1386年、ジョヴァンニを共同経営者とする商会をローマに設立。教皇庁を主要顧客とするこの商会は、ヴィエーリの金融事業のなかでも最も重要なものとなり、ジョヴァンニは金融業者として急速に頭角をあらわす。そして1393年、ヴィエーリが引退すると、ジョヴァンニはその事業を引...
2021.07.09 02:14「フィレンツェ・ルネサンスとコジモ・ディ・メディチ」5 ジョヴァンニ・ディ・ビッチ(1) 度重なる危機の襲来のなかで、フィレンツェの経済活動は当然ながら疲弊し、下降線をたどるが、その驚くべき底力によって、フィレンツェの織物産業と銀行業はイタリアとヨーロッパで依然として第一級の地位を保ち続ける。しかし、多くの商会の倒産によって商工業界では集中化が進み、有力家門の間の力...
2021.07.08 00:56「フィレンツェ・ルネサンスとコジモ・ディ・メディチ」4 危機の14世紀(3) まわりの人々が次々に罹患し死んでいく光景を目の当たりにして、人々はどうしたか?『デカメロン』の登場人物たちのように郊外へ逃げることと神に救いを求めること、それしかできなかった。しかし流行は収まる気配を見せない。このような災厄に直面して、人々は二つの極端な行動様式をとったとされる...
2021.07.07 01:17「フィレンツェ・ルネサンスとコジモ・ディ・メディチ」3 危機の14世紀(2) 『ボッカチオ』のペストの記述について二点補足したい。(1)「恐怖と自暴自棄が、人々の心から人間らしさを奪いました」 ジャック・リュフィエ、ジャン=シャルル・スールニア『ペストからエイズまで-人間史における疫病』(国文社)に、より具体的にこう書かれている。「多くのひとが誰にも看取...
2021.07.06 02:06「フィレンツェ・ルネサンスとコジモ・ディ・メディチ」2 危機の14世紀(1) フィレンツェにとって14世紀は危機の世紀。ジョヴァンニ・ヴィッラーニ(1276年or1280年―1348年 フィレンツェの銀行家・政治家・歴史家)が、300人の命を奪い「空の水門が開いたようだ」と『新年代記』(Nuova Cronica) で記した大洪水が1333年に発生した。...
2021.07.05 08:29「フィレンツェ・ルネサンスとコジモ・ディ・メディチ」1 13世紀フィレンツェ 14~16世紀のヨーロッパ社会の転換期に起った革新的な文化運動である「ルネサンス」(Renaissance)は、「文芸復興」(ギリシア,ローマの古代文化を理想とし,それを復興させつつ新しい文化を生み出そうとする運動)と訳されることが多いが、元来は「再生」を意味するフランス語。1...
2021.07.04 01:12「世界を変えた男コロンブス」13 第1回航海④帰国(ⅲ) コロンブスはアゾレス諸島で、ジョアン2世への書簡で、そしてリスボンの街でインドに到達したと公言している。リスボンでは、種々の新奇な物産はもとよりグアナハニ島の住民まで公開している。西廻り航路によるインド到達という国益に関わる重大情報は、まず最初に、この航海事業のパトロンであるカ...
2021.07.02 23:45「世界を変えた男コロンブス」12 第1回航海④帰国(ⅱ) アメリカでは、コロンブスが新大陸に到達した10月12日(現在は10月第2月曜日)は「コロンブス・デイ」として連邦政府の法定祝日になっている。しかし、コロンブスの第1回航海は実は往路以上に帰還航路が大変だった。コロンブスの名が歴史に登場することなく消え去っていた可能性も大だったの...
2021.07.02 04:12「世界を変えた男コロンブス」11 第1回航海④帰国(ⅰ) 12月5日、南東洋上に大きな島が現れた。ボイオ島(「小屋」という意味)である。この島の周りを見ているうち、コロンブスはこの地の山や谷、それに平野や樹木、また草花や魚までも、カスティーリャのそれに似ていることに気がつく。そこで「地球上で最も美しい」(12月12日 航海日誌)この島...
2021.06.26 02:21「世界を変えた男コロンブス」10 第1回航海③探検 コロンブスは目の前に次々と現れる美しい自然に感嘆の声をあげた。緑したたる樹木とふんだんにある水、まさに別世界のものと思わせる不思議な枝を持つ木々、艶やかな魚たち、肥沃この上ない平野、麗しく香り高い花や果実、さえずり舞い飛ぶ野鳥や小鳥の群れ、強烈な原色のオウム、沼に生息するイグア...