2020.12.12 22:55「ルノワールの女性たち」24 裸婦(3)「ルノワールの女性たち」24 裸婦(3) 1889年にルノワールはリューマチを患うようになり、この年から1893年まで自身の芸術の方向を再定義しようと努力していたために彼の制作量は著しく減少する。1891年に彼は次のように書いている。「4日前に私は50歳になりましたが、光を追い求...
2020.12.11 20:24「ルノワールの女性たち」23 裸婦(2) ローマで賛嘆したラファエロの《ガラテアの勝利》に勇気づけられたルノワールは、裸婦を力強く確固としたフォルムで描くようになる。彼はアカデミー風の画家の擁護する生硬なフォルムをはねつけながらも、再び古典主義と和解する。アカデミー風の画家とは、理想化された裸体美のヴィーナスを最新のス...
2020.12.10 21:16「ルノワールの女性たち」22 裸婦(1) ルノワールは女たちを熱愛した。生き物のそれぞれにはこの世での特別な使命があるとすれば、女のそれは人生を美しくすることだ。彼はそう考えた。彼の作品の主役はまぎれもなく女であり、彼は生涯を通じて多くの女を描いた。その大半は裸婦だった。【作品41】「ディアナ」1867年 ワシントン・...
2020.12.09 20:30「ルノワールの女性たち」21 モデル③アリーヌ・シャリゴ(2) ルノワールの長かった青春時代は、ついに40代半ばにして、実人生においても、芸術においても終わりを告げる。1885年、ルノワールは44歳の時、アリーヌはピエールを産んだ。ルノワールは頻繁に旅をする画家だったが、それ以後、多くの場合彼はアリーヌと幼子を連れて出かけた。その年の秋、家...
2020.12.08 20:30「ルノワールの女性たち」20 モデル③アリーヌ・シャリゴ(1) ルノワールは1878年、後の妻アリーヌ・シャリゴと出会う。当時ルノワールは38歳、アリーヌは20歳だった。彼女が初めてルノワールの絵に登場するのは、《シャトゥーの舟遊び》であり、続いて翌年の《舟遊びの昼食》に、子犬を抱いた姿を見せている。翌1881年、ルノワールはイタリア旅行の...
2020.12.07 20:46「ルノワールの女性たち」19 モデル②ジュリー・マネ ジュリー・マネの母親は、印象派の画家ベルト・モリゾ、そして父親は、ルノワールやモネたち印象派に大きな影響を与えた画家、エドゥアール・マネの弟、ウジェーヌ・マネである。2人は第1回印象派展が開かれた1874年の12月に結婚し、1878年11月14日、パリでジュリー・マネが誕生して...
2020.12.06 21:59「ルノワールの女性たち」18 モデル①シュザンヌ・ヴァラドン(2) 《ブージヴァルのダンス》、《都会のダンス》のモデルはマリー・クレマンティーヌ・ヴァラドン(1865-1938)。ルノワールの生まれ故郷リモージュに近い、オート・ヴィエンヌ県のベッシーヌ・シュル・ガルタンプに生まれ、幼い時から母親とモンマルトルに暮らした。生計を助けるため、さまざ...
2020.12.05 21:42「ルノワールの女性たち」17 モデル①シュザンヌ・ヴァラドン(1) 1882年の前半を旅行(イタリア、アルジェリア、セザンヌのいる南仏レスタック[マルセイユ])で過ごしたルノワールは、夏から秋にかけてヴァルジュモン(ポール・ベラールの別荘)に滞在し、その直後から一連のダンスを描いた大作を制作しはじめる。最初に《ブージヴァルのダンス》、続いて一対...
2020.12.04 20:56「ルノワールの女性たち」16 パトロン③ポール・ベラール ルノワールは、上流市民階級の肖像画を描くことによって名声と経済的安定を得ようとした。しかし、それは同時に、芸術的な代価をルノワールに要求することになる。つまり、繰り返しの姿勢、きざな上品さ、感傷的な甘さなどによって、芸術的な探求がないがしろにされてしまうからである。 40代に突...
2020.12.03 19:19「ルノワールの女性たち」15 パトロン②ルイ・カーン=ダンヴェール 「少女」という概念が誕生したのはそれほど昔のことではない。ユゴーの『レ・ミゼラブル』に出てくる少女コゼットなどによって、人々の頭の中で少女なるものがしだいに形成されていき、『1866-90年版ラルース百科事典』に初めて「少女」の項目が登場する。それによると、「少年に比べ、少女は...
2020.12.02 20:57「ルノワールの女性たち」14 パトロン①シャルパンティエ夫妻 1879年、第4回印象派グループ展を開く準備を始めようとした時、大きな問題が発生した。ルノワールがサロン(官展)に応募することを理由に、グループ展への不参加を表明したのである。その背景には、ルノワールの強力な支援者になったシャルパンティエ夫妻の意向があった。 ジョルジュ・シャル...
2020.12.01 20:20「ルノワールの女性たち」13 画商②アンブロワーズ・ヴォラール アンブロワーズ・ヴォラール【1866~1939】は、フランスの公証人の息子として生まれ、モンペリエ大学とパリで法学を学ぶ。その後版画に夢中になり、法学部での勉学を捨てて、名もない画商の店で商売の初歩を学び、やがてパリの絵画市場の中心、ラフィット街で画廊を構えるようになった。当時...