2020.09.17 03:14「万の心を持つ男」シェイクスピア11『ヴェニスの商人』④ 『ヴェニスの商人』には、これが書かれる2年前に起きた「ロペス事件」が投影されていると言われる。ユダヤ系ポルトガル人でエリザベス女王の侍医にまで出世したロデリゴ・ロペスが、スペインによる女王暗殺計画に加担したとの嫌疑を受けて処刑された事件である。ポルトガル生まれのロペスは、コイン...
2020.09.15 20:38「万の心を持つ男」シェイクスピア10『ヴェニスの商人』③ シェイクスピアは人物を描くとき、その人の立場に立って描いた。どんな脇役だろうと敵役だろうと、主人公意識、つまり、自分は世界の中心にいるという感覚で語らせた。そこが、主役だけに顔を向けて端役のことなど考えない普通の劇作家とは違った。だから、ユダヤ人シャイロックについても、シャイロ...
2020.09.14 23:29「万の心を持つ男」シェイクスピア9『ヴェニスの商人』②「万の心を持つ男」シェイクスピア9『ヴェニスの商人』② まずポーシャ(裁判官)はアントーニオに証文の確認を行ったうえで「では、ユダヤ人が慈悲を施すしかない。」と言い、「わたしが、何に強制されて?うかがいたいものですな。」と答えるシャイロックに、次のようなシェイプスクスピア劇中でも...
2020.09.14 09:48「万の心を持つ男」シェイクスピア8『ヴェニスの商人』① シャイロックと言えば『ヴェニスの商人』に登場する有名なユダヤ人の高利貸し。親友バサーニオから富豪の娘ポーシャに求愛しに行くための資金援助を求められたが、あいにく全財産をあちこちの船に投資中だったため、シャイロックから三千ダカットを借りることにする。それまでシャイロックはアントー...
2020.06.08 20:30「感染症と人間の物語」19 シェイクスピアとペスト② 「創造的休暇」 万有引力の法則の発見や微積分法、光のスペクトル分析など多くの歴史的発見を成し遂げた科学者であり、リンゴの実験で有名なアイザック・ニュートン【1643年~1727年】。彼は1661年にケンブリッジ大学に入学(入学当初は優秀な学生とはいえなかった)するが、在学中の1665年、最後の...
2020.06.07 22:01「感染症と人間の物語」18 シェイクスピアとペスト①『ロミオとジュリエット』 シェイクスピアの人気の悲劇『ロミオとジュリエット』。実は物語の展開上、ペストが重要な役割を果たしている。ヴェローナの2つの名家、キャピュレット家とモンタギュー家は仇敵同士。ところが、モンタギュー家の一人息子ロミオとキャピュレット家の一人娘ジュリエットとが互いに一目惚れ。ロレンス...
2020.05.13 00:10「万の心を持つ男」シェイクスピア8『ハムレット』⑧死 大仰に嘆くレアティーズを目にして、潜んでいたハムレットはレアティーズの前に躍り出る。そしてオフィーリアへの想いをレアティーズにぶつける。「俺はオフィーリアを愛していた。四万人の兄貴の愛の量全部を足しても俺の愛にはかなわない。おまえ、オフィーリアのために一体何ができるというのだ。...
2020.05.11 19:14「万の心を持つ男」シェイクスピア7『ハムレット』⑦ハムレットの出国~帰国 自分の前王殺しの場面を再現したかのような「ゴンザーガ殺し」の上演に、国王は身の危険を察知し、先手を打つべく、ハムレットをイギリスに送ってイギリス王の手で殺させようと決意する。そして、ハムレットにポローニアスが殺されたと聞くと、もはや一刻の猶予も置けぬと、ローゼンクランツとギルデ...
2020.05.10 20:44「万の心を持つ男」シェイクスピア6『ハムレット』⑥オフィーリアの発狂、死 ハムレットの心変わりに打ちのめされていたオフィーリアは、父ポローニアス殺害の知らせを聞いて「気が狂い、大切な理性をなくしてしまった。」そんなオフィーリアが王妃の前に現われる。オフィーリア 美しいデンマークのお妃様はどちら?王妃 どうしたの、オフィーリア?オフィーリア [...
2020.05.09 23:03「万の心を持つ男」シェイクスピア5『ハムレット』⑤母への説教復讐を実行せず、母ガートルードの寝室(壁掛けの後ろにはポローニアスが隠れて様子をうかがっている)に現われたハムレットに彼女は言う。王妃 ハムレット、おまえのことで、父上はひどくお怒りです。ハムレット 母上、母上のことで、父上はひどくお怒りです。王妃 まあ、まあ、やめな...
2020.05.08 20:31「万の心を持つ男」シェイクスピア4『ハムレット』④懺悔 亡霊の言葉が真実かどうかハムレットが思い悩んでいるところへ、都から旅まわりに出た役者の一座がやってきた。ハムレットは早速、トロイ落城(トロイ戦争)のくだりを朗唱するように頼む。座長役者が、トロイ王の死を語り、王妃ヘキュバの逃げまどう姿を語るうちに、顔青ざめ、涙まで流しているのを...
2020.05.07 20:06「万の心を持つ男」シェイクスピア3『ハムレット』③「尼寺へ行け」 ハムレットの悩みは、城中を歩きながらの独白(第四独白)に表されている。『ハムレット』の中でもっとも有名な場面だ。「活きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ(“To be, or not to be, ― that is the question.”)。どちらが気高い心にふさわしい...