2020.11.14 22:38「宗教国家アメリカの誕生」21 アメリカ独立戦争(4)アメリカ独立の確定 サラトガの勝利後も、ワシントンの率いる大陸軍自体は、大陸会議からの食料や装備の支給も思うにまかせず、脱走兵や投降者も多く出て困難を強いられていた。大陸軍は兵力不足を補うためにも黒人兵を登用しはじめ、1778年の夏にニューイングランドおよび中部には755人の黒人兵がいた。1778...
2020.11.13 23:56「宗教国家アメリカの誕生」20 アメリカ独立戦争(3)独立宣言② 1776年7月4日、主にトマス・ジェファソンの起草による「独立宣言」が採択された。これは、新たな国家の誕生を宣言するだけでなく、後に全世界で強力な活動力となる人間の自由の哲学を打ち出したものだった。独立宣言は、フランスおよび英国の啓蒙主義の政治哲学を基盤としていたが、特に大きな...
2020.11.12 23:52「宗教国家アメリカの誕生」19 アメリカ独立戦争(2)独立宣言① 1775年6月にはボストン近郊で軍事衝突が起こり(「バンカーヒルの戦い」)、民兵を主体とするアメリカ側の部隊はイギリス軍の猛攻に撤退を余儀なくされたものの、同時に大きな損害を与えた。7月には大陸会議が「武器をとる理由と必要の宣言」を発して自らの行動を正当化する一方、本国との和解...
2020.11.12 00:29「宗教国家アメリカの誕生」18 アメリカ独立戦争(1)開戦 ボストン・マラソンはマサチューセッツ州、メイン州、ウィスコンシン州の法定祝日「愛国者の日Patriots' Day」(4月19日、現在は第三月曜日)の恒例行事。この日はアメリカ独立戦争の緒戦となる1775年4月19日の「レキシントン・コンコードの戦い」を記念したものだが、ある人...
2020.11.11 01:46「宗教国家アメリカの誕生」17 独立への道(6)「ボストン茶会事件」 イギリス本国の「有益なる怠慢」政策の終焉が初めて広く認識されたのは、1765年の「印紙法」の導入によってだ。これは、新聞、パンフレット、証書、教科書(さらに、カルタや婚姻届 や大学の卒業証書まで)などあらゆる印刷物に課税することを定めた法律で、植民地の抵抗運動に質的な変化をもた...
2020.11.10 00:44「宗教国家アメリカの誕生」16 独立への道(5)「フレンチ・インディアン戦争」 「リバイバル」(信仰復興運動)によって「各植民地の地域的な垣根を超える一体感が醸成」されたと言っても、それはどれほどの強さだったのだろうか?確かに、新聞を資料として用いた計量的研究によれば、イギリス領北米植民地を一体として言い表す表現の出現頻度が18世紀半ば過ぎから伸びており、...
2020.11.09 00:54「宗教国家アメリカの誕生」15 独立への道(4)「リバイバル」③独立革命への影響 アメリカ独立革命は、第一次信仰復興運動(「大覚醒」)のおよそ30年後に起きる。その影響関係はどのようなものだったのか? 森本あんりは『キリスト教でたどるアメリカ史』のなかで次のように記している。「まず、信仰復興は教派間の相違を棚上げにし、各個教会の独立性を越えた連帯を生んだ。同...
2020.11.07 22:50「宗教国家アメリカの誕生」14 独立への道(3)「リバイバル」②映画『エルマー・ガントリー』 すでにロンドンで名説教者として鳴らしていたホイットフィールドは、1740年、アメリカに1年間滞在し、ジョナサン・エドワーズを含む多くの人からの招きに応じて、東海岸のジョージアからメインまでを回り、何千という聴衆を前にして、ほとんど毎日のように説教を続けた。若い頃は俳優を志してい...
2020.11.07 01:16「宗教国家アメリカの誕生」13 独立への道(2)「リバイバル」①ジョナサン・エドワーズ アメリカには、植民地時代に端を発する宗教的な伝統がある。それが、18世紀以降繰り返し訪れる「リバイバル」(信仰復興)の波だ。その克明な記録が初めて残されたのは、1734年のこと。初めは数人の「回心」(正しい信仰への目覚め)をきっかけに、一つの町全体に急速な宗教心の高揚が見られる...
2020.11.06 01:10「宗教国家アメリカの誕生」12 独立への道(1)植民地人のイギリス人意識 北アメリカ大陸にイギリス人が定住してから約1世紀半の間、アメリカのイギリス植民地は政治的・経済的に安定した発展を示した。1760年代には、植民地の人口は合計150万人を超え、1700年当時に比べると6倍に増えていた。それにともない、ヨーロッパから受け継いだもの、アメリカの自然環...
2020.11.04 23:58「宗教国家アメリカの誕生」11 ニューヨーク植民地 ニューヨーク植民地となる地方に最初に移住したのはオランダ人だった。1609年、アジアに通じる北西航路を発見するためオランダ東インド会社に雇われたイギリス人ヘンリー・ハドソン(「ハドソン湾」、「ハドソン海峡」、「ハドソン川」は彼の名にちなむ)による探検に続き、1621年にはオラン...
2020.11.03 20:58「宗教国家アメリカの誕生」10 ペンシルベニア植民地 アメリカ大統領選の最終的な結果そのものを左右するともいわれる、ペンシルベニア州。アメリカ合衆国において最も歴史のある州の一つで、1681年に熱心なクェーカー教徒のイギリス貴族ウィリアム・ペンによって建設された。その誕生の経緯はかなり特殊だ。当時のイギリス国王チャールズ2世は、海...