2019.09.10 00:08「ジャガイモと世界史」⑨塩漬け肉からの解放 長らくヨーロッパにおいては、はじめから食肉用と決めて飼育する大型の家畜は豚しかいなかった。馬は大切な交通手段であり、戦争時の戦力。牛は広い畑を鋤で耕すための労働力であり、貴重なたんぱく質源の牛乳を提供。羊も、羊毛は麻と並んで衣料品の大切な素材。だから、馬も牛も羊も食用にすること...
2019.09.09 01:02「ジャガイモと世界史」⑧イギリス「フィッシュ&チップス」 ジャガイモが初めてイギリスに姿を現したのは16世紀末頃らしいが、「危険な植物中の危険な植物」として弾劾され、普及には時間がかかった。それでも1840年ごろまでにはイギリス人の食生活に定着。早くからジャガイモを食べ物として受け入れた隣国アイルランドの影響が大きかったようだ。しかし...
2019.09.08 00:57「ジャガイモと世界史」⑦アイルランド ヨーロッパ各国でジャガイモがまだ偏見にまみれていた中で、唯一「ジャガイモ好き」として知られていたのがアイルランドだった。アイルランドは、北緯50度(日本本土最北端の宗谷岬は北緯45度)を超える高緯度地方にあり、約1万年前まで全島を氷河が覆っていた。そのため土壌は薄く、しかも気温...
2019.09.06 23:25「ジャガイモと世界史」⑥フランス3「アントワーヌ・パルマンティエ」(2) パルマンティエにとって、待ちに待った機会が到来する。フランス・アカデミーが、打ち続く凶作、国家財政の窮乏という危機的状況を打破するため、1772年「食糧飢饉を緩和する食物」についての論文を募集したのだ。彼の論文は見事最優秀賞。その後も次々に研究成果を発表していく。『ジャガイモの...
2019.09.05 22:52「ジャガイモと世界史」⑤フランス2「アントワーヌ・パルマンティエ」(1) 遅くとも1600年までにはフランスにもジャガイモは伝わっていたが、農業国であるがゆえにムギ類への執着が強く、またジャガイモへの偏見もあって、ジャガイモの普及は遅々として進まなかった。そのような状況下のフランスで、ジャガイモを普及させるうえで多大な功績を残したのがアントワーヌ・パ...
2019.09.04 22:40「ジャガイモと世界史」④「ポム・ド・テール」 ジャガイモに最初に接した西洋人スペイン人は、中南米の現地人がジャガイモを「パパ(papa)」と呼んでいたことから、そのままスペインに伝えた。しかし恐れ多くもローマ法王も「パパ(papá)」。そこで、近い発音の「パタタ(patata)」となったと言われる。イタリア語も同様に「パタ...
2019.09.03 21:49「ジャガイモと世界史」③プロイセン「フリードリヒ大王」 ジャガイモの普及へのパルマンティエの貢献を語る前に、ヨーロッパ大陸で、いち早く庶民の食卓にパンの代わりにジャガイモが上がるようになったプロイセンをとりあげたい。そしてこの国においてジャガイモの普及に決定的な貢献をしたのが、プロイセン発展(このプロイセンが中心となって、1871年...
2019.09.03 00:50「ジャガイモと世界史」②フランス1「ジャガイモとハンセン病」 ヨーロッパでジャガイモに関する最初の記録が表れてくるのはスペインで、スペインにジャガイモがもたらされた時期は1570年前後とされる。1573年、セビリアのラ・サングレ病院で患者の食用に供された記録がある。16世紀末にはフランスにも伝わったようで、1600年にオリヴィエ・ド・セー...
2019.09.02 03:32「ジャガイモと世界史」①コロンブス かつて「コロンブスは新大陸の発見者である」と表現された。しかしアメリカ大陸には1万年以上前から先住民が住んでいた。そこで「コロンブスは旧大陸から新大陸への最初の到達者である」という表現が主流になる。しかし、現在では「ヴァイキング」の名で知られている古代スカンジナビア人数十人が、...