「自分の良心の声を聞く」
ナポレオンは「指揮統率術は戦争術の半分以上を占める」と言った。第一次イタリア遠征を見ればわかる通り、当初ナポレオンが率いたのは士気も低く、ろくな武器も持たない軍隊。それを巧みな練兵(教育・訓練)と用兵(兵力の運用)によって勝利に導いた。
「将軍は軍隊のリーダーであり、すべてである。ガリアを征服したのはローマの軍隊ではなくシーザー(カエサル)である。インドまで遠征したのはマケドニアの軍隊ではなくアレクサンダー大王である。プロイセンを7年間守り抜いたのはプロイセン軍ではなくフリードリヒ大王である。」
どんなに優れた兵士から構成される軍隊だろうと、それを活かす指揮官がいなければ力は発揮できない。逆に平凡な構成員からなる軍隊でも、持てる力を十分に引き出すことができる優れた指揮官に率いられれば勝利を得ることが可能。それをナポレオンは実に巧みに表現した。
「一頭の羊に率いられた百頭の狼の群れは、一頭の狼に率いられた百頭の羊の群れに敗れる」
至極名言。そして優れた指揮官には、状況の正確な把握に基づく戦略・戦術の立案能力だけでなく、状況の変化に対応した素早い判断、的確な指示が求められる。
「作戦計画を立派に立てることはだれにでもできる。しかし、実戦をうまく指揮できるものは少ない。何故ならば、状況の特性と変化に応じて的確な指揮をすることは至難の業である。」
ナポレオンにとっては、今が大切。目の前の現実こそすべて。失敗しても引きずらない。安易な希望も抱かない。ひたすら今に集中。だからこうも言う。
「愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る」
恐ろしいほどのリアリスト。少なくとも皇帝に上り詰めるまでのナポレオンは。そして彼が軍事と政治の両世界において大指導者になりえたのは、自分の信じる道をぶれずに邁進したから。
「偉大な人間は、人がほめようが批判しようが動じない。いつも自分の良心の声を聞いている」
(1801年 コンコルダート(政教条約)調印 )
(兵士たちに訓示するナポレオン)
(戦況を視察するナポレオン)
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