鳴門・高松旅行3 「栗林公園」

 以前ヴェルサイユ庭園をその噴水を調べるために5時間ほど歩き回ったことがあったが、それでも見たのはごくごく一部と知ってその広大さに驚いたが、今回是非訪れたかったのが日本一の広さを誇る高松市にある「栗林(りつりん)公園」。ヴェルサイユ庭園(800ha)の10分の1とはいえ、国の特別名勝に指定されている庭園の中で最大の広さ(75ha)を誇り、兼六園(11ha)、偕楽園(13ha)、後楽園(13ha)の6倍近い面積。半日では回り切れないのではと思っていたが全くの杞憂だった。まず75haというのは紫雲山(稲荷山【いなりやま・166m】と室山【むろやま・199m】の二つの山の総称)も含めた面積で、平庭部だけだと16ha。さらに、その平庭部は南庭と北庭で構成されるが、見どころの大部分は南庭。1745年(延享2年)第5代高松藩主松平頼恭(よりたか)が栗林公園の「名所60景」を撰名したが、そのうち現存する50景は南庭46景、北庭4景なのだ。だから「讃岐民芸館」、「商工奨励館」を見学し、「掬月亭(きくげつてい)」で抹茶を楽しんでも、3時間あれば十分見どころをまわることは可能なのだ。

 もちろん、予想していたより小さかったとはいえ、2009年版の『ミシュラン観光ガイド』に「わざわざ訪れる価値のある場所」として、最高評価の3つ星に選定されただけの魅力は十分にある。1910年(明治43年)に文部省が発行した『高等小学読本 巻一』の第六課「公園」の末文には、「・・・我ガ国ニテ風致ノ美ヲ以テ世ニ聞エタルハ、水戸ノ偕楽園、金沢ノ兼六園、岡山ノ後楽園ニシテ、之ヲ日本ノ三公園ト称ス。然レドモ高松ノ栗林公園ハ木石ノ雅趣却ツテ批ノ三公園ニ優レリ」とまで記述されているのもうなずける。

 園内には約1400本の松があり、そのうち約1000本が職人が手を加えている手入れ松。300年に渡って手入れされてきた松は、まるで盆栽のような見事な枝ぶり。驚いたのは、「根上り五葉松」。徳川11代将軍家斉公から賜った盆栽の五葉松が高さ約8mの巨木に育ったものだという。眺望で素晴らしかったのは、鞠月亭」からの「南湖」の眺めと飛来峰からのそれ。残念だったのは、雨のために「和船」が運航していなかったこと。和船に乗りながら眺める南湖の周囲の景色は格別だろう。

 意外だったのは、大好きな平賀源内(本草学者、蘭学者、発明家、芸術家などさまざまなジャンルで才能を発揮した江戸時代の奇才で「日本のレオナルド・ダ・ヴィンチ」とも称される)と栗林公園の関わり。現在、茶園と梅林があるあたりに、かつては「薬園」があり、平賀源内は初代薬園頭として1759年から2年間勤めたそうだ。ここの庭園は、水戸光圀の実兄である高松藩初代の松平頼重から5代目の松平頼恭まで、約100年に渡って庭園改修が行われたが、博物学好きとして知られた頼恭が平賀源内を大抜擢して、江戸城の吹上御殿にあった薬草園を参考薬草園を造らせたそうだ。


掬月亭からの眺め

掬月亭からの眺め

栗林公園 飛来峰からの眺望

根上り五葉松

南湖をすすむ和船  残念ながら今回は乗船できず

飛来峰からの眺望

栗林公園案内図

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