ヨーロッパの夏空の下7 多様性

 バルセロナからウィーンに向かうフライトが遅れたため、ホテルへの到着はスーパーも締まっている時間。そのため、近くのレストランで遅い夕食。メニューに肉、魚が全く載っていない。「べジタリアン・レストランか?」と食事が終わって聞くと「ヴィーガン Vegan」(肉、魚だけでなく、卵や乳製品も食べない)と言われる。なれのせいもあるのかもしれないが、まずくはなかったが物足りなさが残った。二日後には「ヴィーガン」のアイスクリームを食べた。これは美味しかった。もちろん、ヴィーガンアイスなので、牛乳は使わず、ココナッツミルクやライスミルク、豆乳で作られているようだ。この「Veganista Ice Cream」。トリップアドバイザーでもウィーンのデザート・菓子143軒中3位。前を通るといつも多くの客であふれていた。  滞在したホテルがあったエリアは「レオポルトシュタット」。かつてユダヤ人居住区(ゲットー)があったせいかユダヤ人の姿をよく見かけた。30度を超える暑い日でも黒ずくめの服装姿のユダヤ人は目立つ存在(この服装はユダヤ教の中の正統派の人々)。彼らの食事の戒律も厳しい。旧約聖書の「レビ記」11章にこうある。 「地上のあらゆる動物のうちで、あなたたちの食べてよい生き物は、ひづめが分かれ、完全に割れており、しかも反すうするものである。従って反すうするだけか、あるいは、ひづめが分かれただけの生き物は食べてはならない。・・・水中の魚類のうち、ひれ、うろこのあるものは、海のものでも、川のものでもすべて食べてよい。しかしひれやうろこのないものは、海のものでも、川のものでも、水に群がるものでも、水の中の生き物はすべて汚らわしいものである。・・・わたしはあなたたちの神になるために、エジプトの国からあなたたちを導き上った主である。わたしは聖なる者であるから、あなたたちも聖なる者となりなさい。」  豚はもちろん、猪も野ウサギも駄目。イカ、タコ、ウナギ、エビ、カニ、貝も禁止。どれも自分の好物ばかり。「聖なる者」となることが人生の最大、最高の目的である人間にとって、食も大切な「聖なる者」への道。その価値観をもって生きることも、他者への価値観の押し付け、強要がない限り好ましく感じる。多様な価値観の共存こそ、豊かで新しい文化創造の源泉。しかしそれの実現のいかに困難な事か。 ウィーンは第二次世界大戦以前にはユダヤ人が非常に多く住んでおり(1934年3月の調査で17万6034人)、この街でヒトラーは反ユダヤ主義者になった。オーストリアは第二次世界大戦中、ドイツに併合されウィーンに住む6万5000人あまりのユダヤ人が絶滅収容所に送られ、1945年5月を迎えたウィーンのユダヤ人は5512人に過ぎなかったとされる。

 (ウィーン レオポルトシュタット ユダヤ人)

服装と電動キックボードの組み合わせがひどく印象的だった。この光景には何度も出くわした。

(「Veganista Ice Cream」)

(「Veganista Ice Cream」)

(ヴィーガン・カフェ&ビストロ「Harvest Cafe 」)

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  • はじめまして、私、大阪芸術大学建築学科卒業して特許庁意匠登録取得しました者です。只今、ブログのフォアグラのテリーヌのレシピを掲載しました。また見てください。よろしくお願いいたします。